導入部 (ちょっと長い)

    
 5月13日。
職場の同僚に付き添って、仕事で動物園に行った。
ブルガス近郊の小さな都市アイトスにある動物園。
  
Zoopark.jpg (23689 バイト)  動物園は、街の外れの山の中にあった。うっそうとしている園内。 “園内”っていうより、単に、森の中に点々と動物の檻がおいてあるだけ。日曜日だったけれど、飼育員とぼくら以外には誰もいなかった。

 仕事の空き時間に、檻を見てまわった。

  
 とても小規模な動物園。哺乳類は10種類もいない。シカの仲間が3,4種類と、食肉目の動物(ヒョウとかクマとか)が3,4種類。あっ、サルも1種いたなぁ・・・・。

 鳥類は、クジャクやオウムなどがいくらかいた。あと、その辺の家畜でいつでも見かけそうなアヒルみたいなのも飼われていた。

 

ZooparkHawk.jpg (23515 バイト)

  
 ぼくの興味は、“ブルガリアに生息する動物”にあった。だから、ヒョウやサルやクジャクなんかも悪くないんだけど、適当に流して見て、ブルガリア産の動物を探した。

 何種かブルガリア産のものがいた。上の猛禽類は、ブルガリアに生息しているとのこと。フィールドで猛禽類を何度か目にすることはあるけれど、普段こんなに近くで見ることはできない。じっくり観察。
  

ZooparkFox.jpg (24042 バイト)  このキツネもブルガリア産。近くの森から捕まえてきたらしい。ぼくは、まだブルガリアで野生のキツネには出会ったことがない。

 クマもブルガリアのクマ。だけど、街でジプシーがよく連れているから、とくに目新しく感じなかった。

  
 ある檻の近くに行くと、ぼくを威嚇する低いうなり声。ヴゥ〜って、かなり怒っている様子。 だけど、巣穴(隠れ家)の中にいるから、姿がまったく見えない。檻の札には「Чакал 」と書いてある。

「あぁー!ジャッカルだぁ!」 興奮したね。

 ブルガリアの森には、オオカミもジャッカルも生息している。オオカミは非常に数が少ないので、まず滅多に見ることはできない。ジャッカルもそれほど多くはいないものの、オオカミよりは出会える可能性が高い。と、聞いている。
 ジャッカルが出てくるのを楽しみに待ってみた ・・・・が、ぜんぜん出てこない。

 そこに、ちょうど、飼育係のおじさんがやってきた。
すると、巣穴から飛び出してきた黒い大きな影!!

『ガハハァ〜、どうだ俺の犬は〜。すごいだろう?!』と、おじさん。
現れたのは、黒い大きなシェパード犬。おじさんの前で尻尾ブンブン振って大興奮。

「えっ? お、おじさん、ジャッカルは??」
『あ? あぁ、それ名札だけだ。今はいない。 それよりこんな犬、おまえの国にはいないだろう。  おおぉ、よしよし(犬を撫で撫で)。  はっはー、デカイだろう!』

・・・・・・・・・ 日本にもシェパードくらいいるけどさぁ ・・・・ ジャッカルゥ〜


 滅多に現れないお客が珍しいのか (いや、本当はアジア人が珍しい)、おじさんはいろいろと質問してくる。『どっから来たんだ?』、『日本のどこだ?』、、、、

 いろいろ話すうちに、(さっき一通り見てしまった)せまい園内を案内してくれた。
ヒョウの檻に来ては、
『こいつの名前はイヴァンって言うんだ。 おーい、イヴァン!こっち来い。』
キツネの檻では
『こいつは、ペータル。 ペータル!ペータル!おいでおいで。』
と、動物の名前しか説明してくれない。(・・・・名前なんてどーでもいいんだけどなぁ)
みんなに名前を付けていて、なかなかかわいらしいおじさんだ。

『あっ! おまえ、日本のシカ見たかぁ?』
「へっ? 日本産の? いるの?」
『なんだー見てないのかぁ。 こっちに来い。 いるんだぞ。 日本のだぞ。』
  

ZooparkDeer.jpg (26251 バイト)  さっき、流して見たシカの檻の前に連れて行かれた。こんな場所でニホンジカを見られるなんて意外だった。そう言われてみると、奈良の公園にいるシカたちはこんな姿だったかな? 1〜2歳と思われる雄シカだった。

 おじさんは
『こいつ、なんって名前かわかるか?』って、ニヤニヤしながら聞いてくる。

  
 なにか日本っぽい名前なんだな!とは、思ったけれど、見当がつかなかった。
すると、おじさんが
『トーシバ! トーシバ! こっちに来い。』って。

 これには、驚いた! しかし、笑える〜。 

『今こいつしかいないけど、もう1匹いたら名前はヒタチにするんだ! はっはっはー』 と、おじさん。


 なるほど、東芝と日立ねぇ〜 、、、、うーーん、たしかに日本っぽいかぁ
    

 

 

ようやく本題

    
 ブルガリア人に“日本”で連想するモノは?と聞く

 答えは、「ニンジャ」、「スモウ」、「スシ」、「カラテ」、「サケ(日本酒)」、「トウキョー」、「地震」、「フジヤマ」、「ゲイシャ」、「茶道」、「キョート」、「ショーグン」、「箸」、「オーサカ」、「ハラキリ」、「ハイク(俳句)」、「ボンサイ」などなど

 どの言葉も、ブルガリア人がよく耳にする日本のモノ。でも、どれも実生活とはほとんど関わりのないものばかり。


 実際、もっとブルガリア人の生活に密着している日本のモノはある。
  

SignboardElectricProduct.jpg (25419 バイト)  『ニホンジカの名前にトーシバとヒタチ』 でわかるように、ブルガリア国内の家電製品では日本のメーカーはかなり有名だ。東芝、日立に加えて、ソニー、パナソニック、JVC、シャープ、アイワなどはよく知られているし、街でも看板を目にする。

 上記のほかにも、オーディオ関係ではTDK、パイオニア、ケンウッド、PC関係ではキャノン、エプソン、富士通、NECなどもよく知られている。

 日本メーカーが有名なのは、電気製品にとどまらない。

 カメラ関係では、日本のメーカーはとくにすごい勢い。ミノルタ、キャノン、ニコン、オリンパス、ペンタックス、、、、
 フィルムにしても、富士フイルム、コニカなどよく見かける。

 また時計なら、カシオ、シチズン、セイコーあたりは有名。

SignboardCamera.jpg (25557 バイト)

SignboardCar.jpg (26284 バイト)  そして、日本車。街で走っているだけあって、車のメーカーはとてもよく知られている。写真にあるように、三菱、ニッサン、ホンダ、マツダ、トヨタ。 このほかにも、スバル、いすゞ、ダイハツなども知られている。

 車同様バイクでも、ヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキあたりはとても有名。

  
 日本のメーカーが有名なのは、その技術の高さの現れだろう。
「日本製」=「信頼できる優れた製品」という考えが、ブルガリア人の中にある。
    

 しっかし、こうやって挙げてみると、日本は凄まじい工業技術力を世界に誇っているんだなぁー、と感心してしまう。
自分も日本人ながらびっくり、『恐るべしニッポン!』だね。

 

  
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[2001.8.12 作成]
[2001.8.21 文章一部改変]
[2002.10.5 写真の質改善]

 

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